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ね、君が行きたいところへ行こうよ

ね、君が行きたいところへ行こうよ

小さな子猫

とても小さな子猫がいました。
ただでさえ子猫なのに、ちいさな・・・ともう一度言いたくなるくらい。

ちいさなちいさな子猫でした。



おとなしくて、いたずらをすることもなく、毎日毎日おりこうに笑っている子猫。
みんなに愛されて、幸せに暮らしてました。




頭のいい子猫だったので、自分がどういう風にいればみんな愛してくれるか気付いていました。

だから、子猫はいつもおりこうでした。

それが自分にとって一番幸せだと思っていたから。











そんなある日、そのコトリはやって来ました。

「ね、何してるの?」

コトリは子猫に話しかけてきました。

「あのね、今日はお留守番なの。」

「へえ、そうなんだぁ。でもさ、こんないい天気だし、ちょっと冒険に行かない?」

「え?冒険?」

「そうそう♪向こうの山に、とても美味しい木の実があるらしくてさ♪一回行ってみたかったんだよねぇ♪」

「そんなのアブナイよ!」

「そう?んじゃ、行ってくるねぇ♪」

そう言うと、コトリはぱたぱた飛んで行ってしまいました。











翌朝、コトリは頭に蜘蛛の巣をいっぱいくっつけて飛んできました。

「やぁ♪昨日ねぇ♪」

「コトリさん、それよりその蜘蛛の巣は?」

「え?あれ、気付かなかったよ!!それよりね・・・」

コトリは蜘蛛の巣を羽根で落としながらニコニコ話し始めました。
蜘蛛の巣が、今度は羽根の先にくっついてたけど、気付いてないようでした。

「木の実がねぇ♪」

コトリは木の実が美味しかった話、途中大きな黒い動物に出逢い、少しビックリしたけど面白くてついて行った話しなどを、蜘蛛の巣のいっぱいついた羽根をばたばたさせながら話しました。












翌朝、またコトリがやって来ました。

「おはよう♪今日はね、湖に行くんだけど来る?」

「でも、危なくない?」

「あはは♪アブナイのなんか気にしてたら、面白いことも見つからないよ♪」

「あぶない事すると怒られるから・・・」

「そっか・・・んじゃ、何かお土産持ってくるね♪」

コトリは飛んで行きました。













翌朝、コトリは口に小さな魚をくわえて飛んできました。

「おはよう♪」

そう言いながら、コトリは魚を子猫の前に置きました。

「これね、昨日取ったの♪・・・っていうか、貰ったっていうか♪」

「貰った?誰に?」

「えっとね、く、ま???」

「熊に貰ったの?」

子猫はビックリしました。

「うん♪なんだかね、歯に何か挟まったっていうから、取ってあげたの♪そしたらお礼にってくれたの♪」

子猫はビックリしました。

「・・・普通、コトリさんって熊に食べられるんじゃないの?」

「え?ふつう?さぁ、食べられなかったよ♪」

コトリは尾羽根に、フライフィッシングの虫みたいなものをひっつけてました。
子猫がとってあげると、きょとんとして

「そんなのいつついたんだろう?」

といいながら、子猫にバイバイして帰りました。













その夜・・・

コトリがまたやってきました。

「ね、今日はキミの傍で寝てもいい?」

「うん。いいけど、どうしたの?」

「なんとなく、キミのそばにいたくなったの」

コトリは羽根が少し傷んでいるようでした。
怪我をしているようです。

「大丈夫?」

「うん。大丈夫。よくやっちゃうんだよね。じっとしてられない性質だからさ。ま、たまにね・・・。あ、いてて・・・」

「ね、コトリさん。なんでいつもボクのところに来るの?」

「え?それは好きだからだよ♪」

「ボクのこと?」

「うん。」

「なんで?」

「え?理由なんてないよ。でも、なんか落ちつくんだよね、なんていうのかな。ここから飛んで行くと、上手くいく気がするの♪」

「そうなんだ・・・」








子猫は不思議でした。

何もしてしてないし、ただここにいるだけなのに、好きになって貰えることがあるんだ・・・。







そして気づきました。

「ボクもキミが好きだよ。」

こんなにアブナイことばかりして、心配ばかりかけて、ちっともおりこうじゃないのに、このコトリをこんなに大好きになっちゃうなんて・・・

とても不思議でした。


「ボクは、おりこうじゃないと、好きになってもらえないと思ってた。」

「え?それって私がバカってこと?」


コトリは笑いながら言いました。

「あはは♪バカだも~~~ん♪ありがとっ♪」

子猫はまたビックリしました。

言葉の使い方を間違えて、てっきりコトリに怒られると思ったのに・・・。






「私の方が、子猫くん大好きなんだよぉ~~♪」



コトリは笑いました。

子猫は幸せな気持ちになりました。




そのうち冒険に一緒に行こうかな。

もしも怒られても、誰かに許して貰えなくても、コトリといたら楽しそう。


「あはは♪だってさ、楽しく生きなきゃ♪好きなことしなきゃ♪せっかく生まれてきたんだもん♪いつでも夢を持って、ワクワク過ごさなきゃつまんないでしょ♪」


コトリは無邪気に笑いました。

子猫も笑ってしまいました。


「うるさいよ~~!!」

近所の人に怒られたけど、なんだか笑いが止まりませんでした。

コトリと子猫はずっとずっと笑っていました。






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